No.201
一生恋愛や結婚をしなくても幸せでいられるって、
誰かに言ってもらえれば、心がすっきりすると思うのですが……
K・Uさん(32歳) 独身
2005.10.19

 私はバツ一です。25歳のときに結婚して半年で別れてしまいました。その後、仕事が順調なこともあって、恋人が欲しいとか結婚したいとか思うこともなく30歳を過ぎました。でも、最近、仕事が現場から管理部門に移ったこともあって、いろいろ考えるようになってきました。
 月々の収入もボーナスもひとりで生活するには十分なものがあります。仕事もそれほど不満はありません。友達にも恵まれていると思います(結婚している人も独身の人もいます)。友達に言わせると、私の生活って、女として本当に羨ましいそうです。
 実は、マンション業者からのDMや営業電話がよくかかってきて、賃貸よりローンのほうが安いし財産になる……と言われて、少し心が動きました。でも、一人で暮らすマンションを購入するということは、一生独身でいると決めるのと同じですよね。なんだかそれもいやだな、と……。 

 吉永さん、私、悩みがないようで実は悩んでいるんじゃないかと思うんです。本当は結婚したいのに過去の失敗もあって押し隠しているのかもしれません。自分でもよくわかりません。ただ、誰かが、大丈夫、一生恋愛とか結婚とかと無縁でも幸せでいられると言ってくれたら、そのほうがうれしいと思っているのは事実です。私の考え、間違っているでしょうか?
 
一生独身で行こうだなんて、今決めなくていいと思います。
もっと自分に自信を持って、今を楽しむことが大切
 そうか。気持ちはよくわかる。何を求められているかも、よくわかるぞ。

「結婚なんてしてもしなくても同じ。だから結婚したいなんて思う必要ないよ。このまま独身のままのほうが、わずらわしいこともなくてむしろ幸せだと思うよ」

 こう言ったら、きっとあなたの気持ちはすっきりするんだよね。 今のままでいいと太鼓判を押してもらったら、とりあえず心の迷いが消えるから。でもね、それって、結局ちょっとの間しか効果が持たないおまじないみたいなものでね。しばらくすると、また心の奥の方から 「本当にこれでいいのだろうか」って思いがモヤモヤと湧き上がってくるよ。

 私の友達でも、結婚しなかった人は結構いてね。子供の苦労、自由にならない時間の苦労、家族関係の悩みなどから解放されている彼女たちが、 いつも羨ましく思ったものだった。

 でも、彼女たちは、私の不自由さや悩みや苦しみを、贅沢な悩みだと一喝した。結婚することと、 結婚しないということは、どっちが幸せとか、どっちがお得とかいうことでなく、失うものと得るものが背中合わせみたいなものなんだね。同時に両方を経験することは不可能だから、何かが奪われ、その分何かを得る。何かを守って、その分何かがそぎ落とされる。だから、どっちもどっち。それぞれが違う質の幸せを得ることができるんだと思う。

 不幸なのは、自分の状況が自分の望みと相反するのではないかと思い、自分が今生きている生活に不満や不安を覚えながら暮らすことだと思う。 みんなが羨ましいと言っても、 それを素直に受け入れることができない。

 結婚している友達が、あなたのことを羨ましいと言うのは、 経済力と自由さなんだと思う。それにこれからどんな展開が待っているかわからない、 未知の部分を残している魅力かな。独身の友達が羨ましいと思うのは、あなたの仕事ぶりやキャリアや颯爽とした生き方なんじゃないかな。その通りよと思っていればいいのよ。

 それが今のあなたが生きている道なんだから。本当の自分は、結婚を望んでいるのだろうか……って、あなたは考えてる。もしそうなら今の独身生活は、結婚できないから一人でいるということになっちゃうでしょ。

 本当の自分はどうなんだろうなんて、 ある時、 ふっと気がつくもんなんだって。例えば、強固な独身主義者で結婚なんか否定していた人だって、ある日、ひょんなことで知り合った男性と激しく結婚したいと思うかもしれない。 その時、 こんなふうに願っている自分を発見して、周囲より本人が一番びっくり仰天しているケースだってあるからね。

 生きものは、変わるもの。生きものは変化して当然。明日の自分は、今日の自分の上に築かれるものなんだから、今日をどう生きたかによって、先の姿形は違ってくる。

 結婚したいと思って結婚しても不幸せだと寂しい顔している人もいれば、結婚とは無縁だといっていたくせに結婚してハッピーな人もいる。自分の気持ちの奥ばっかりを覗きこんで、本当の自分の姿ばっかり追いかけて、見えない!と悩むよりは、今日の自分を一生懸命生きていたほうが、確たる自分を築けると思うけどね。

 一人で暮らすマンションを自分の力で購入すると決断することが、あなたにとってはなんで一生独身でいると決めることになっちゃうのかな。別にそんなことないんじゃない?

 単に、賃貸でお金は掛け捨てだけれど移動の自由をキープするか、賃料をローンにして移動の自由をあきらめて資産形成をするかってだけの違いじゃないかと思うよ。

 結婚したら無駄になっちゃうと思ってるの? だから、結婚の可能性のあるうちは賃貸でって思ってたの? そう思うから、自分が本当はどっちを望んでいるかを早く決めなきゃって焦っちゃうわけ。マンションを女が購入することは、独身でいることという考え方は、女は資産形成など必要なくて、男性の経済力に頼って生きるという時代のもの。すぐぶっ壊したほうがいい。

 このまま賃貸で家賃を捨てていくより、その賃料をローンにしてマンションを購入することを選ぶ時に考えなければならないことは、将来的に日照などの条件悪化がないか、環境はどうか、資産価値が落ちないかということであって、独身を貫くかどうかじゃない。

 マンションを購入した途端、素敵な人と出会うかもしれない。結婚したいと思うかもしれない。それならそれで、 誰かに貸して、その賃貸料でローンを払えばいいだけのこと。 やがて、ローンを払いきればあなたの財産になる。結婚して不幸にもうまくいかなかった時にも、あなたを助けてくれるのは自分の場所を持っていることかもしれないよ。

 今の生活で十分満足して、結婚したいと思わせるほどの相手もいない時には、あなたの老後も支えてくれるでしょ。

 まだ32歳じゃないの。今から、独身でいくべきか結婚を本当に望まないのかなんて、決めることはない。もっと肩の力を抜いて、今生きている自分に自信持って、楽しんでいないともったいないよ。

「楽しみはおのが心にあるものを 月よ花よと 何求むらん」
 これは江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜の句です。