No.203
結婚を意識して付き合い始めたメル友ですが、会ってみると
食生活の違いが鮮明に……。別れたほうが…と悩んでいます
R・Iさん(35歳)両親、弟
2005.11.2

 昨年、出会い系で知り合った人と今年の3月から会うようになり、現在、付き合っています。彼は大分県在住で38歳、私も35歳なので、当然、お互いに結婚を意識しています。 彼は性格も穏やかで一緒にいると癒されるのですが、会ってしばらく後になってからいろいろと細かいことをメールで言ってきます。例えば、私の家(東京)で手料理をふるまうと、味が薄くてよく分からないとか、家相が悪いとか……。家相が悪いというのは言ってもらってよかったと思うのですが、料理のことはちゃんとした料理教室で習ったとおりに作っているので、味が薄いというのはありえないと思うんです。
 確かに、私の実家は母が高血圧のため、食事はすべて薄味にはしてあります。でも、私は実家から出て10年以上になるし、母から特別教わったこともないので、母の影響を受けているとも思えません。単に、彼の家の味付けが濃いのでしょうか? そうなると、健康に気を使いたい私としては、なんだか一緒に暮らすのには合わないのでは、と不安になります。彼は、単純に味付けを濃くすればいい、と言いますが、そういう問題でもないと思うし、私としては彼に薄味に慣れてほしいんです。でも、彼は私の味覚がおかしいから直せ、と言います。あと、彼は朝食をまったく食べないため、夕飯の量を異常に多くしないと満足しないのも気になります。

 会っているときは優しくていいのですが、メールではやたらと自分の理想ばかりを押し付けてくるような気がします。私には一応、3年ほど前から目指している夢がありますが、彼と結婚が決まれば、それも諦める覚悟はできています。ただ、今の状態では彼と具体的な結婚の話も出ていませんし、お互いの実家にもまだ行っていない状態です。私は過去のつらい恋愛経験もあり、何度か別れをほのめかしたことがありました。しかし、彼はその度に「逃げ腰になるな。こっちは(私と)別れたら後がないくらいの覚悟で恋愛してる」と言ってくれました。
 彼の愛情は伝わってくるのですが、食事ってとても重要なことだし、結婚と食は切り離せない問題だと思うんです。くだらない悩みかもしれませんが、吉永さんのアドバイスをぜひ聞かせてもらえればと思います。
 
ゴールを決める前に、もっと相手を知ることが必要ではないかしら。
お互いの違いを認められるかどうかがポイントです
 出会い系サイトで知り合って、半年ちょっと。大分県と東京では、距離が離れているから実際に会った時間は、まだそんなに長くないのかなあと思います。もっぱらメールでのやりとりで、お互いの気持ちを確かめたり、 深めたりして、結婚を意識するようになったってことなのかな。いわゆる遠距離恋愛なんだろうと思うけど、実際に知り合って何らかの事情で距離的に離れてなお付き合いが続いている遠距離恋愛とは、 若干ニュアンスが違うような気がする。メールという距離感の感じられないツールを通して知り合い、お互いが遠いところにいると気がついて、それから生身の方に近づいていくというわけだものね。

 出会う前に、メールでのやりとりでお互いに気持ちの準備を整えている。会っているうちに好きになるというよりは、メールでのやりとりでお互い好意を抱いたから、会うというステップに進む。あなたの場合、お互いに好意を抱いたからよかったけど、片方は好意を持っても、片方は好意を持ったフリをしている場合もあって、そんなケースではいきなり不幸な展開になったりする。とりあえず、穏やかな人でよかったね。

 ところで、あなたは今、メールの世界で生まれた恋愛気分を、実際に会うことで深めて、結婚へと向かう途中で、ちょっと不安になっているわけだよね。

 パソコン画面に並んで言葉だけで想像していた関係と、実際に会った後ではお互いにこれまでキープしてきた自分の位置が変わってしまうのは当然だと思う。彼も変わるし、あなたも変わる。だからメールから読み取る事柄が、これまでのような文字だけで自由に構築できる範囲を超える。 自由に……ということは、お互いが自分の都合のいいように解釈して、実は現れているギャップまでも自分の世界の中に取り込んでしまうから、あまり深く感じないですんでしまう。

 でも、 実際に会って、一緒にご飯食べて、時間を共有してみると、メールの画面から生身の人間が浮き上がってしまう。手ごたえのある関係になると、 言葉が自分のナマの部分との関わりとして迫ってくるというのかな。メールの世界だけなら、「僕は濃い味が好きです」と自分の嗜好と違うことを書いてきても、 「私は薄味が好きです」 と自分の世界を返せばいい。「そうか濃い味が好きなのか」という違いを、漠然と感じるだけですむ。

 でも、実際にあなたが料理を作り、一緒に食べた後は、そういうわけにはいかない。

 つまり生の人間同士の、付き合いがここから始まったということなんだと思う。

 異なった環境で育って三十数年、それこそ何から何まで違うと思った方がいい。だから、結婚というゴールを決めて、結婚するべきかと悩むより、まだ付き合っていける人かどうかをこれから決める段階だと捉えた方がいい。

 今、大きな問題として目の前に現れてきたのは、食べ物の嗜好の問題。これから、一緒にいる時間が増えれば増えるほど、さまざまな見解の違いや、性格の違いや、まさか! と絶句する場面が次々と出てくると思うよ。

 付き合うか付き合わないかは、それらがあってなおどこか惹かれる部分があって、気に入らないところはそれで帳消しにできるかどうか。本当はこうしたいんだけど、ま、そこのところは譲ってもいいか……と思えれば、一緒にいて楽しいと思える。付き合っている過程で、妥協点を見つけたり、そこは関知しない部分ができたりして、うまくバランスがとれたら結婚するかという流れになる。

 まず最初のぶつかりあいが発生したということでは、メールから実生活に向かう第一関門に到達したってことかもね。

 読んでいて 「似た者同士だなあ」と感じました。どうしてかというと、お互いに歩み寄ろうという気がまったくないこと。 彼は、料理をごちそうになっておきながら、あなたの味を受け入れようとする意識がない。少なくても「この人はこういう味付けをする人なんだ!」という発見や、知らなかったあなたの面を知ったという受け止め方をしない。 「自分は濃い味が好きだから、味付けを濃くすればいいんだよ。簡単なことじゃないか」と言う。それに対して、あなたも「味が薄いということはありえない。だから薄いということ自体おかしいし、 この味に慣れてもらいたい」と一歩も引かない。味覚という一番個人差がある部分に、お互いの味覚がおかしいと、我こそが正しいと主張しているんだものね。

 相手の味覚も受け入れられずに、お互いの過去や趣味や性格の違いをどうやって受け入れていくんだろうといささか心配になっちゃう。あんたのやってきたことはおかしい。 お前の趣味はどうかしている。性格を変えろ!なんて言われても、お互い困るよね。まだ、彼のことを、あなたはほとんど知らないんだと思う。それなのに、あなたは3年もあたためてきた夢を、結婚のために捨てる覚悟ができているという。

 すごい覚悟を、まだ何も見えていない状況の中でしちゃえるのが、私には今イチよくわからないのだよ。夢を捨て、もしかしたら自分の住まいや故郷まで捨てちゃう覚悟はできるけど、ちょっと濃い目の味付けに歩み寄ることはできないのも、不思議といえば不思議な感じだよね。

 彼の方も、いささか言葉と覚悟ばかりが先行しているようで、「別れたら後がない覚悟で恋愛している」なんて平気で言う。それなら薄味に慣れるくらいの覚悟はできるだろう。

 食事のことは毎日のことだからもちろん重要だけれど、お互いがどんな人間なのか知ることも重要だと思うよ。人との付き合いは、相手のことばかりではなく、合わせ鏡のように自分ってこういう人間だったのかということも見せてくれる。抱いていた夢を、あなたがどのくらい深い気持ちで追っていたのかも見せてくれる。

 これからもっともっと違いは露呈してくるだろうし、それを乗り越えさせるのがお互いの相手への愛情なんじゃないかな。乗り越えられなければ、所詮、そこまでの深さしかないってこと。最初に結論を決めてしまうと、それに合わせてしたくもない妥協をするから、結婚してから失敗だと気がつく。ちょっとクールダウンして、一度ニュートラルに戻し、気持ちのテンションを下げて落ち着いて客観的にふたりのこと、自分のことを考えてみてよ。