No.215
同棲中の彼に入籍しようといわれました。
でも、私は本当にこの人でいいのか疑問を感じています
M・Oさん(29歳) 同棲中
2006.2.8
 私と3年同棲している彼は同い年です。最近、彼が入籍しようと言い始めました。互いの親のところに挨拶にいって、きちんと式をあげて、そろそろそういう時期だと言うのです。でも、私は反対に彼と別れた方がいいかなと思っていたところでした。だから彼がそう言ったときはすごくびっくりして、うまく言えなくて、もう少し待って、と言いました。彼は、私も彼と結婚する気だと信じているみたいで、私が待ってと言ったのも、心の整理ができていないからだと思い込んでいるみたいです。
 彼はいい人です。思いやりもあるし、同棲していて家事もよくやってくれる(というか、彼のほうがずっと上手)し、共通の友達たちもみんな私たちがそろそろ結婚するもんだと思っているみたいです(お正月にみんなで集まったときそんな雰囲気でした)。でも、私が別れたいと思ったのは、彼が頼もしく感じられなくなったからです。
 勤めている会社に有能な上司がいて、その人の仕事ぶりを見ていると、彼の生き方とか仕事の仕方とかがゆるい感じがしてきて、男として見られなくなってきたところがあります。その上司(結婚していて奥さんがいて、子どもはいません)が何度か個人的に食事に誘ってくれて、話を聞いたりしているうちに、一生かけるならこんな男らしい人がいいと思ってしまいました。今の彼氏とは、なんかおままごとみたいな気がしてしまって……(上司は結婚している人ですから、上司と深い関係になりたいと思っているわけではありません)。
 新しい年になってしまい、春には一緒に両親のところに行こうと言われ、今のままだとこのまま進行してしまいそうです。ほんの少しですけど、このまま結婚したほうがいいかも、と思うときがあります。でも、やっぱりいや、と思うと、彼に当たってしまったりして(彼はマリッジブルーと思っているみたいです)。もしかしたら、ホントにマリッジブルーかもと思ったりもします。こういうとき、いったい、どうしたらいいんでしょうか?
 
少し彼と距離を置いて、自分の本当の気持ちと向き合うこと。
迷いがある間はとことん迷ったほうがいい
 同棲3年ですか。 結婚してても3年ぐらいたつと、 結婚前のときめきや結婚時の興奮が失せて、変化の乏しい日常がふたりを包み込んでくる時期でね。これで本当によかったのだろうか……と、 思い悩んだりする。 相手がそこにいるのが当たり前の存在になってくると、それまで “ここが好き” と思っていた部分も、当然のように思えてくるから、何となく物足りなく感じてしまうのかもね。

 あなたがたは、結婚こそしていないけど、まさにそんな時期にいるのよね。そこにふたつの変化があらわれた。彼が結婚しようと言い出したことと、あなたが彼とは違うタイプの男性と個人的に食事をする機会を持ったこと。

 まったく逆のケースだってありえたと思う。彼があなたと違うタイプの女性と知り合い、あなたのほうがそろそろ結婚して根を張ろうかなと考える。

 現在の形を前進させようと決めた者は迷わない。それまで決断できずに迷ったとしても、その時期を乗り越えてしまったわけだからね。前進するのをためらう者は、自分が何を求めているのかわからなくなってしまったということだから、これから本格的に自分と向き合わなければいけないってことになるね。

 彼があなたと自分が結婚に向かって心が同じだと信じているのを見ると、本来はうれしく感じるはずなのに、イヤッ!って思うんでしょ。彼は、マリッジブルーなんだって思っているみたいだけど(そんなところに猜疑心の少ない人のよさがあらわれているね。でもそれって、センシティブではないという面もある)、そのうちに何か変だぞ!って気がつくよね。蛍光灯だって、時間がかかるけど待てばいずれ灯かりはつくんだから。

 今、必要なのはあなたが何を一番大事に思うのか、自分の問いかけることと、そのための冷静な時間じゃないかな。 こればかりは、 自分で決めるしかない。他人が、こっちがいいとかあっちがいいとか言えないからね。

 やさしくて、気がよくて、あなたを大事にしてくれて、仕事もバリバリ、どんどんリードしてくれて……と、すべてを備えていれば申し分ないんだけど、まずそういう人はいない。いるかもしれないけど、砂漠でダイヤを探すような確率だね。

 例えば、 あなたの彼への評価を揺るがした有能な上司だけどね、 彼の仕事への意欲、戦う姿勢、気のきいた会話などに、カッコいいと感じて、こんなタイプの方が一生をともにするにはいいのかもと思ったわけよね。 前段は、理解できる。でも後段の“だから一生かけるならこのタイプ”かどうかは、 よく考えて判断しないとね。 上司としての評価と、夫としての評価は、イコールじゃないから。

 たしかにこの上司は魅力的なんだと思う。ただ、あなたは彼を仕事の関係でみている。仕事を離れた彼の実体は、どのくらい知っているのだろうか。 おそらく、一緒に暮らしてきた彼にない部分を見ているから、新鮮で輝いて見える。同棲中の彼のことは、あなたは両側見てきたわけよね。いい面もゆるい面も。そういう意味で、 上司はいい面だけで勝負している。彼にとってはハンデ戦。だからこそ、ハンデの有利不利を差し引いて本当の人間を見極めて、あなたの望むパートナーはどっちのタイプか決めればいい。

 仕事ができて、俺についてこいというタイプの男性は、家庭よりも仕事が大事。何でも自分が決めるから、それに従っていればうまくいく。頼りがいがあるといえばあるけれど、仕事上の上司なら文句ないけど、夫となると“自分勝手”という不満も出てくる可能性ありだね。

 同棲中の彼のように、家事を手伝ってくれたり、 共通の友人との時間を大事にしてくれたりということに関しては、 あまり興味がないかもね。そういう意味では、ある種の寂しさはあると想定できる。部下の女性を個人的に食事に誘って、楽しい時間を過ごしたりもできちゃう人だからね。ということは、この手の人と結婚すると、自分以外の若い女性と、今あなたが過ごしたような時間を持つということになる。それも容認しないといけない。

 妻や子より仕事優先ということは、自分の達成感や評価が優先されることになるかも。同棲中の彼は、そういう芸当ができないタイプなのかもね。だから安心していられる分、面白さや刺激的な面では物足りなくなるってこと。

 どっちがいいとか、どっちが人間として優れているかとか、どっちが魅力的かとか、そういう問題ではなくて、どっちがあなたの大事にしたい部分を共有してくれるかが重要。

 そのためには、彼のタイプか、上司のタイプかと相手のことを考えるのではなく、あなた自身の生き方、求めるものの優先順位を考えなければ、結論はでない。

 いずれにしても、彼に引っ張られるように両親に挨拶してしまうと、結婚に向かっての事務的なことが前面に出てきて、流されてしまう。気持ちが固まらないうちに、事がどんどん決まっていくと、ますます本当にこれでよかったのかと疑問ばかりが増してしまうでしょ。そうなると、もうどうでもいいやという諦めで結婚まで進むか、土壇場になってキャンセルするようになるか。どっちにしても、いい形にならない。

 それなら、 今、 ちょっと止まるしかない。 同棲からズルッと結婚に移行するのではなく、一度別々に住んでみて、 気持ちをしっかり見極めてみるのも手かなと思うよ。 離れてみて、やっぱり彼の占める部分が大きいことに気がつくかもしれないし、彼との暮らしで抑えられていた何かが羽ばたくかもしれないしね。

 迷いがある間は、とことん迷って、悩んで、考えていればいい。そのうちに、だんだんと分かれ道が一本になっていくから。そうしたら、もう迷わなくなるから。一本道にならないのに、ええいとばかりどちらかの道を選んでしまうと、何か面白くないことが起きるたびに、捨てたほうの道がよかったのではないかという後悔を道連れにすることになっちゃうよ。