No.224
彼に裏切られて以来、男性不信みたいです。
このままでは一生結婚できないかもしれません。どうしたらいいでしょうか?
J・Hさん(28歳) 一人暮らし
2006.4.12
 2年前に5年間つきあった彼に裏切られて、それ以来、男性不信になってしまいました。その彼は、私と婚約同然のつきあいをしていたのに、突然、他の女性と結婚してしまったのです。ある日突然呼び出されて、「俺、さえちゃんと結婚する」と言われ、私には晴天の霹靂でした。さえちゃんは、私の同僚でした。次の日に彼女は寿退社して、1か月後に彼と結婚したのです。私とは5年もつきあっていたのに。結婚したふたりはつきあって3か月ぐらいで結婚したらしいです。ほんとうに落ち込みました。
 でも、少しずつ立ち直っていたと思っていたのですが、この前、仕事関係の男性につきあってほしいと言われたとき、背筋が寒くなって冷や汗をかいていました。その人が嫌いとかいうのではないです。とくに意識していた人ではなかったけれど、悪くない人です。それなのに、それ以来、仕事で合っても、その人を避けてしまいます。
 これは男性不信ですよね。友達にも相談したんですが、きっと彼に裏切られた経験が尾をひいているんだと思います。そろそろ結婚をしたいと思っているのに、こんなふうになってしまい、どうしたらいいか、すごく悩んでいます。
 
彼への不信感を、他の男性にまで拡大しないほうがいい。
男性不信だと思い込んでいると、新しい出会いを逃してしまうから
  本当に悲しい目にあったね。信頼していて結婚するつもりでいた人がいきなり他の人と結婚することになっただけでも十分にショックなのに、 それが自分のすぐ近くにいた同僚だったとなれば、二重にこたえるよね。よくそんな苦しい状況を受け止めて、少しずつ立ち直ってきたと自分で言えるまでになったと思う。 2年の年月が傷を癒してくれたこともあるけど、あなた自身が痛んだ心をギュッと固くして少しずつ壊れた部分を再生させていったんだと思うよ。

 よく反対の反応をする人がいてね。別の男性によって気持ちの空洞を埋めようとしたり、当てつけのように手当たり次第に男性を求めたり……。これだと、対症療法で痛みを瞬間忘れることはできても、本当の意味の再生は難しくなってしまうことが多い。

 2年たって、逃げ切ったかと思っていたところに、 あなたに付き合ってほしいという男性があらわれた。これまで、あなたは仕事関係の男性たちとも普通に接することができていたんだと思う。でも、まだどこかでバリアを築いていて、その外側に男性を置いていた。外側にいる男性、つまりプライベートな部分に侵入してこないという前提で、普通に接していたわけで、今回初めて、そのバリアの内側に入ろうとした人が現れたってわけだね。

 その時に、自分でも予想していなかった反応が自分にあらわれてしまった。当時の苦しさや、また同じ思いをするのではないかという怯えが走った。だから、その人を避けてしまう。その反応に、男性不信が治っていない。こんなことになってしまって、今後結婚できないのではないか……と、とっても不安になっているんだね。

 たしかに、あなたを裏切った人は、信頼にたる人ではなかった。結婚しようとまで思っていた信頼関係を一方的に断ち切られたことは確かに不幸な出来事だったけど、そういう人ともし結婚していたら、結婚後にあるいは子供ができてから同じような裏切りにあっていたかもしれないし、不誠実は男と結婚しないですんだことは、ある意味では運がよかったのかもしれない。アウトではなくセーフだったという考え方もできる。

 とても悲しいことや辛いことでも、ひとつの面だけではなく、その中にいくつもの違う面がある。そのひとつの面だけを見ていると、それは単に不幸な出来事で終わってしまう。マイナスだけしか残らない。でも、なんで見抜けなかったのかなと自分から引き剥がして全体を眺めてみれば、自分が見落としていた部分、甘く見ていた部分が見えてくる。 それが見えてくれば、何度も同じ失敗をしないですむ。悲しい経験をしたことが、 ここで初めて自分にとってプラスの糧になってくれる。経験が無駄になるかならないかは、 ここに分かれ道があるんだと思う。

 男性不信という病のようなものがあるわけじゃないんだよ。裏切ったひとりの“彼”への不信を、男性全体への不信に拡大してしまって、自分は男性不信だと自分で決めつけてしまった時に男性不信という状態に陥る。男性にはいろいろな人がいる。彼のようなのもいるけれど、まったく違う誠実な人だってゴマンもいる。最初から誰も信じないと決めつけたら、傷つくこともないかわりに、いい人と出会う機会もなくなる。

 あなたは、そろそろ結婚も考えたいと思っているんでしょ。これって、男性不信なんかじゃないと思う。信頼できる人がいるはずだと思っているから、結婚したいと思うんじゃないのかな。

 彼に裏切られた経験がまだ尾を引いている……というのは、ちょっと違うよ。まだ尾を引いているんじゃなくて、まだ尾を引かせている。尾は自分で断ち切らない限り、いつまでもついてくる。

 例えばね。階段から落ちて大怪我をした人は、やっと回復しかかった時って、身震いするくらい階段が怖いもんだよ。その時の恐怖や痛みを思い出して足がすくんで降りることができない。冷や汗が出たり背筋が凍る人もいると思う。そこで、私は階段恐怖症ですと決めつけたら、その先、ずっと階段を避けるしかない。これって、世の中狭くするし、たくさんの楽しみを自ら捨てることだよね。

 足がすくもうが冷や汗が出ようが、それは痛い思いをしたんだからしようがない。これからは落ちないようにしようとか、 手すりを絶対離さないようにしようという方向で考える人は、階段落ちの恐怖を克服できる。

 でもね、いきなり駆け降りたりしろって言われても無理だから、 今回も、付き合うのか避けるのかというように自分を追い詰めないで、バリア内で少し泳がせておいたらどう? 背筋が寒くなったのは、もしかしたら本当は好みじゃなかったのかもしれないし……。あなたが避けて簡単にあきらめるなら放って置けばいい。 それでもあなたへの思いを伝えるなら、男性不信だからと背中を向けないで正面から経験を生かしてよく見てごらん。 付き合いたい気持ちにならなかったら、それは男性不信のせいではなく、 あなたの感性がNOと言ってるんだと思えばいい。これを機に、一気に結婚とか信頼関係を前提とした付き合いではなく、リハビリ感覚でいろいろな人とフランクに出会ってみればどうかな。

 そろそろ結婚したいから誰かと付き合わなければいけないのに付き合えないことに悩むというのは、何か危なっかしいよ。誰かと出会って、この人なら大丈夫だと思って、お互いの意思が確認できて、そろそろ結婚しようかという流れが自然じゃないかな。

 バリアを破って侵入してきてくれた人は、手すりをつかみつつ踏み出すきっかけをあなたに与えてくれたんだと思って、思い切ってバリアをはずしてみたら。