No.227
ダイエットから摂食障害、最近は吐血で失神することも……。
何とか普通の生活に戻りたいのですが
M・Nさん(33歳) 両親 子供
2006.5.3
 4年前、無理なダイエットで20キロ痩せました。生理が止まり、通院して標準体重に戻し、生理はきましたが、今度は摂食障害で過食嘔吐を繰り返す始末です。ストレスが原因だと思って仕事を辞めてから1年になりますが、現在、過食と嘔吐は減ってきたのですが、職に就けず、ニート生活を送ってます。そんな自分がどうしても嫌で、働こうとは思うのですが、どうしても腰が上がりません。
 こんなことを繰り返しているために、ストレスはたまる一方です。過食・嘔吐も、最近では吐血して失神状態になる程、体がボロボロ状態です。どうしたら普通の生活に戻せますか? 宜しくお願いいたします
 
とにかく早く病院に行くこと。失神は低血糖による昏睡も心配です。
焦らず、まずはボロボロの体のケアーをしてください!
   一番気になって、一番知りたいのは、今、病院に行っているのかどうかってことだよ。もし病院に行っていないのなら、とにかく行って欲しい。

 吐血したり、失神状態になるとしたら、過食や嘔吐の繰り返しで内臓が傷んでいるか、血糖のコントロールができずに低血糖昏睡に近い状況が生じているかもしれないから。私は医師じゃないから、的確な判断はできないけれど、 かつて同じような状態の人が低血糖昏睡に陥ってしまった例が頭に浮かんで、とても心配です。

 それに、ずっと食べては嘔吐を続けていると、胃酸で歯がやられてしまうから、とにかく今は、吐いたらうがいをするか歯を磨くかしないとダメだよ。

 まず、ボロボロの身体の手当てをしないとね。身体の状態が悪いと、そのことがまた気持ちに影を落としてしまって、なかなか負のスパイラルから抜け出せないから。

 それから、辛い過食と嘔吐をどう乗り越えていくか考えようよ。

 あなたの文面はとても短くて、背景はまったくわからないんだけど、とにかく今の状態が苦しくて何とかしたい、早く以前のような普通に仕事をし、普通に食べられる生活に戻りたいという悲鳴のような叫びは、痛いほど伝わってくるよ。それなのに、何ともできない自分に苛立ち、早く何とかしなくちゃと焦る気持ちも、同時にビンビン伝わってくる。

 4年前、無理なダイエットで20キロも体重を減らして、その結果、生理が止まってしまったんだね。何キロあった体重を、何キロに落としたのかはわからないけど、小錦のような人が20キロ減らしても目立たないけど、ちょっと小太り程度だったら大変な減らし方だと思う。もしかしたらダイエットというより拒食に近かったのかもしれないね。

 食べ物を激しく拒むというのは、現実を受け入れたくないという強い気持ちがあって、それが食べ物を飲み込むことを拒否する強い行動にあらわれるケースがあると病院の先生から聞いたことがあるんだけどね。あなたは、その頃、何か悲しいことや辛いことや、どうにも自分の中で飲み込めないような出来事があったのかなあ。

 食事をしないということが、むしろ気持ちの平安につながる。現実に戻りたくないという心理が、現実の体重をもっと前の痩せていた頃に戻しさえすれば楽になるという回路につながってしまうと、拒食が始まる。誰かの「ちょっと太った?」とか 「痩せた方がいいんじゃない」というひと言で、痩せさえすれば苦しさから逃れられると思ってしまうこともあるみたい。あるいは、自分がもっと痩せていた頃は、こんな苦しみが存在しない楽しい日々だったと思うと、その当時の体重に戻すことで気持ちの平安を得ようとするケースもあるようです。

 いずれにしても、あなたはその状況から自分の力で脱したわけだよね。通院して体重を元に戻し、生理も戻ったというのは、一行で書けるけど、そう簡単なことじゃないと思う。よく頑張ったと思うし、あなたの強い意志と実行力を感じる。えらかった!と誉められていいことだと思うよ。

 ただ、その後で今度は過食と嘔吐に見舞われてしまった。拒食という厳しい山をやっと克服できたら、今度は過食と嘔吐という新しい山が目の前に立ちはだかったというのではなく、過食と嘔吐は、拒食からの完全回復の過程で現れる山と考えた方がいいみたいだよ。

 飲み込みたくない現実を飲み込まないと拒否を続けていたのが、 ふたたび食べ物を飲み込むというのは、とにかく飲み込もうというふうに気持ちが前向きになったということ。でも原因となった不安が解消されていないと、飲み込んだ物をあわてて戻してしまう。

「やっぱりまだダメ」という拒否は、何が何でも飲み込もうとしない拒否とは違う。飲み込もうとする気はあるんだけど、飲み込んだものを納める場所がまだできていないといえば、 何となくイメージがつかめるかな。

 つまり、納めるべき物の大きさが重さや形態がわからないと、どう納めていいかわからなくなっちゃう。まずは、納める荷物をじっくり客観的に観察して、 丸い容器なのか四角い容器が必要なのかを見極めるってことが大事でしょ。

 今あなたは、何とかしなければという焦りで、力まかせに押し込んでしまおうとして、それができない自分に苛立ってしまっている状態のように見える。

 あなたの中でこんがらがっているものは何なんだろう。 自分がどうしても受け入れられないことって何かある? 自分がこれまで生きてきた道のどこかでよじれてしまったポイントってある? 何かありのままの自分を認められないこととか、認めてくれない周囲の抵抗で先に進めないと思っていることとか、ないのかな。

 もしそれが見つかったら、どうしたらよじれを治せるか、どうしたら前後左右どこにも動けなくなった自分を動かすことができるのかという次の手がわかる。

 それを見つけるのはそう簡単じゃないかもしれないけど、ここでこそカウンセラーの出番。なかなか見えにくい自分の気持ちの底に沈んでいて食べ物が来ると追い出す“何か”を一緒に見つけていく。ひとりじゃ後ろ姿は見えないけど、カウンセラーと一緒なら合わせ鏡のように見えなかった自分の後ろ姿もきっとみえるから。

 急がば回れって言葉があるけれど、あんまり焦らないでね。ニートがイヤで働かなければと焦っても、結局、ストレスをためるだけだものね。わけのわからないストレスは、ますます霧を深くしてしまってさらに道に迷っちゃうから。

 一刻も早くと思うから、なかなか思うにませない自分の気持ちが自分を追い詰め、普通の生活への過渡期の過食と嘔吐の期間を長引かせることになっちゃう。

 どうしたら普通の生活に戻せるのかと考えるより、 今の苦しさの中から原因が見えてきて、見えたことにきちんと対応できたら、自然に普通の生活に戻っていけるんだって考えてみない? 何とかしなきゃと思わず、ちょっと開き直って時間をたっぷり吸い込む覚悟で霧の発生源を見つけてみようよ。結局、それが最短距離のような気がするな。