No.231
職場に二人きりの先輩女性に怒られてビクついています。
何とかお局恐怖症を克服したいのですが……
M・Sさん(26歳) 両親 妹
2006.5.31
 吉永様はじめまして。仕事の愚痴っぽい相談ですが、よろしくお願いします。お局様が恐いのですが、今の会社を辞めたくありません。どうすれば自分がお局様に負けずに堂々と接することができるのでしょうか。仕事は事務職です。
 既往歴は、疲れ・寝不足が続くと耳が聞こえにくくなるのですが、今は特に病気はありません。
 実は会社に、私に対して特に威圧的に接してくる女性(仮にAさんとします。三十代・独身)がいます。仕事で重要なこと以外でも、私のちょっとした落ち度を見つけては、ずけずけ指摘してくるし、私のすることが気にいらなければ文句を言い、社内メールでも文句のメールを送ってきたりもします。少しヒステリックに怒られるときも時折あります。
 職場の女性は、この恐いAさんと私の二人きりなので、いつも「怒られるかもしれない」という恐怖感があります。それなのに、会話をしなければならない場面がしばしばあって、でも私は、Aさんに私の落ち度を責めてこられると、ものすごく緊張して、心拍数が早くなって、手が震えてしまいます。「いじめられる、いじめられる、こわい、こわい」という気持でアタマがいっぱいいっぱいになります。
 何とかお腹に力を入れて、少しだけ自分の言い分を言うのですが、緊張と口ベタのため上手く話せず、いつも言い負かされ、結局、私が「スミマセン」を言うだけで、いつもイヤな気分が残って苦しいです。また、Aさんがパソコンでメールをしているのを見かけると、「また私に恐いメールを送ってくるのかなあ」と、少し不安になります。
 幸い、私の上司はこの女性が私に威圧的なことは知ってくれていて、かばってくれることもあります。それはものすごくありがたいです。職場の中では私が一番年が若く、続いて32歳のAさん、他に、50代前後や70代の男性が十人弱です。私の性格は、自分で言うのもおかしいのですが、天然ボケ系です。少し抜けているのですが、おっとりしていて、わりとどんな人とでも話ができます。それだからか、職場や近所の事務所の人とは特にトラブルはありません。
 Aさんは自分の上司にも、気に食わないことがあれば、威圧的なしゃべり方をされています。もともと気性が激しいようです。世の中にはいろんな人がいて、Aさんだって同じ職場の人間だし、そう恐がってばかりもいられないと思いますが、体が拒絶反応を示すようです。同じ職場に4年もいるので、意地悪にもある程度は慣れ、うまく受け流せる時もあるのですが、やはり傷ついてしまいます。
 私の方も神経質で、少しの意地悪でも気にしすぎているのかもしれません。精神的に強くなって、今の会社で仕事を続けたいです。意地悪を気にしないような堂々とした人間になりたいです。どうすればいいでしょうか? アドバイスよろしくお願いします。
 
怒られたら『文句を言ってくれてありがとう!』と、
感謝してみたら? きっと相手の態度も変わると思う
 お局様攻略法を考えてみましょうかね。春日の局級のおっかないのがいても、腰元たちが多ければ、 みんなでこきおろし大会でウサ晴らしもできるけど、 小規模の職場だとバッチリ向かい合うしかなくなるので、けっこうしんどいのかもね。

 しかし、あなたは実に冷静にお局様の分析をしているよね。目に浮かぶようだもの。同時に、とってもしっかり自己分析もしている。 相手が一方的な悪、自分は絶対的な善という単純な怒りではなく、周辺の人たちの対応も含めて極めて冷静に状況を把握している。

 これなら、何とか自力で処理できそうだと思えるんだけど、あなたの客観的な視点も、天然ボケ系のおちゃめなキャラクターも、ことお局様に関しては通じないみたいだね。

 あなたにとって、お局Aさんは、どうやら存在そのものが威嚇光線を発して、スキあらば即座に攻撃をしかけてくる気の抜けない恐怖の対象になってしまっている。何か言われるんじゃないかとビクビクしている。 ビクビクしているから態度が知らず知らずギクシャクして、 それがまたAさんにとって格好のターゲットになる。 オドオドしていると狙われやすいし、 その態度が相手をさらに刺激するという悪循環になっちゃう。

 そのよくないスパイラルからの脱出方法は、これっきゃないかな。

 現在は、 Aさんの一挙手一投足に神経を尖らせ、 「来るかな、 来るかな」と構えているけど、それは怒られるという受け身の発想をベースに、できれば避けたいのに避けられないという怯えから生まれている。だから常に怒る人と怒られる人という構図になり、 怒らないでほしいと自らの気配を殺すことでしか対応できない。攻撃と守備の関係といったらいいのかな。攻撃するほうが先輩だから、“いじめられる”“怒られる”“責められる”という被害者的な感覚、上下感覚に染められてしまう。

 先輩なんだから、いろいろ注意するのは当たり前。後輩なんだから、Aさんよりできなくて当たり前。文句言われるのも当たり前。そう考えることで、“いじめられる”を“教えてくれる”に変える。“怒られる”を“大きなミスを未然に防いでくれた”に変える。“責められる”は“歯がゆい思いで警告を発してくれている”と変える。そう簡単には変わらないだろうけれど、何とか変えちゃう。

 実際に先輩という立場になるとわかるだろうけど、後輩にいちいち小言を言ったり、注意したりするのって、けっこうエネルギーがいるんだよ。それより、知らん顔しているほうがずっと楽だし、イヤな奴だと思われなくてすむんだから楽なわけ。それなのに、エネルギー使ってくれる人は奇特なお方なのだ。

 だから、たくさんのエネルギーを私のために割いてくれてすみませんね……という見方もできるわけよ。

 堂々としているということは、 何を言われてもシカトするってことじゃない。 何か言われて「すみません」と謝ってばかりだと、攻撃と守備になってしまう。 強者と弱者に固定されてしまう。それを「わーっ、助かりました」とか「気がつかなかったなあ。教えてくれてありがとうございました」と受けたら、様相はガラッと変わる。これだと、相手は牙を抜かれちゃう。

 振り下ろした刃に相手が怯えるどころか、感謝などされてごらんよ。悪い気分しないのよ、敵も。そのうち、愛い奴じゃ!とかわいがったりするようになるかも。これは“相手を懐柔する”という高度なテクですよ。覚えておいてね。

 天然ボケ系だと自己分析しているあなたなら、できるんじゃないかな。

 何も言われなければいいのに……また、怒っているのかな……と怯えるから、緊張してしまう。お腹に力を入れて決死の覚悟でボソボソ言ったって、所詮相手に勝てるわけないでしょ。そんな無駄なことをしないで、「いつもありがとうございます」とニコニコ感謝感激の姿勢を示す。真っ向勝負をしても無理なら、意外な向きから意表をつく風を吹かせる奇襲しかないわけね。ほめ殺しって、相手の力を抜いてしまうから。

 さらに、「何か気がついたらどんどん言ってください」と先手を打つ。これなら、何か言われたというより、あなたの求めに応えたという形になる。「さあ、今日は何を言ってくるかな」「メールで来るかな、それとも口頭かな」と、いっそ楽しみにしたらどう? 楽しみになんかできないと言うなら、競馬のように予想でもしてみたら。メールで来るほうに500円賭けよう!と密かに一人ギャンブル化して、はずれて口頭だったら500円貯金でもしたらお金貯まるし、気分も遊べるよ。

 心に鎧をまとって意地悪に慣れるより、意地悪をかわす楽しみ方を覚えた方が面白いよ。精神的に強くなるというのは、相手とタイマンはれるように同じ土俵で鍛えたり、じっと我慢して心頭滅却すれば火もまた涼し、と突っ張ったりするのではなく、伸縮自由、変幻自在に状況を転がせるってことじゃないかと思うんだけどね。