No.234
夫から、突然離婚を切り出されました。
まだ愛情もあるし、病気がちで天涯孤独。この先が不安です
C・Sさん(49歳) 夫
2006.6.21
 結婚9年、夫から「他に愛する人ができたので離婚したい」と、突然言われました。夫は6歳年下で、子供はおりません。相手は夫より16歳年下ですが、地味でしっかりとした女性だそうです。夫の性格からすると本気の恋愛のようで、私にはどうすることもできません。私を嫌いになったのではなく、もっと愛する人、理想の人にめぐり合ったということだと思います。
 盛り上がっている二人に「不倫はいけないこと」「夫婦生活に不満があったのならまずそれを解消してから」といった言葉も虚しくなります。人生の後半戦、こんな苦しく辛いことが待っていたなんて、私の生き方、やってきたことは間違っていたのか、悶々とした日々が続いています。両親は既に亡くなっており、兄弟もいない私は本当に一人ぼっちになってしまいます。おまけに私は癌患者で、辛うじて早期で手術できましたが、これから本格的に仕事を始めるのも難しい状態です。
 現在、彼らの都合もあり強行に離婚を進めることはなく、一見いつもと変わらぬ日常生活が送られていますが、もう針のむしろです。この辛さから逃れるためには離婚しかないとは思うのですが、私はまだ夫を愛しており、傍にいられるだけでもいい、と思ったり……。日々、その瞬間ごとに心が揺れています。夫への愛情、これからの人生への不安をどうやって、何から整理すればいいものか。どうぞご助言をお願いいたします。
 
身内がなくても一人ぼっちではないはず。もっと積極的に
周りと関わって、夫に頼らない生活の仕方を探してください
 貴女より6歳年下の夫は43歳。 それより16歳年下の彼女は27歳。あなたにとって娘といってもいいような若い女性が、いきなり夫の不倫相手どころか結婚相手として、目の前に立ちはだかってきたことになるんだね。

 9年間の夫とあなたの結婚生活が、幸せで平穏なものだったのか、 いろいろ波乱に満ちたものだったのかはわからないけれど、あなたはこの先も夫との結婚生活が続くものと思っていたし、夫を信じてもいたんでしょうね。

 そんな折に、いきなり理想の人とめぐり合ったから別れてくれと言われたら、相当に混乱しちゃうよね。これまでのこと、これからのこと、一体何が起きているのか、 いっぺんにいろいろなことが頭にひしめいて、どうしていいかわからなくなっちゃうと思う。

 一読して、身勝手な話だなあ……と思う。あなたに気持ちを寄せれば「冗談じゃない」「私は一体何だったんだ」「理想の人を見つけるまでの腰かけか!」と腹が立つ。

 でも、どんな理不尽だと思っても、人の気持ちの動きを止めることは悲しいかな、むずかしい。人が人に惹かれてしまうというのは、置かれている状況や立場も何もかも踏み越えて、ある日突然どうしようもなく起こってしまうことだから。

 動いてしまった気持ちは、世の中の常識も、人間としてのやさしさも、自分の責任も、吹き飛ばして膨らんでしまう。こうなると逆風さえも追い風に作用してしまう。

 何を言っても虚しいというあなたの言葉から、まさになす術もない苦しさが痛いほど伝わってきます。

 でも、こんな状態は、大きな病気を克服したばかりのあなたの身体にもよくない。この先どうしていいのか決められないことは、一番のストレス。向かっていく先が見えない不安がもっとも人を不安定にさせてしまう。先が見えて、自分の態度が決まれば、それがどんなに辛くて大変な道でも、暗闇の中を流されていくよりはマシ。つまり覚悟が決まれば、人は戦う気力も湧いてくるし、気分が楽になれるもんなんだよね。

 まず、あなたにどんな選択肢があるのか考えてみようよ。

 最も望ましいのは、夫が彼女と別れてあなたとの結婚を継続するということになるのかな。ただ、これはあなたの選択肢ではない。夫の気持ちが戻るのは、やっぱりあなたと暮らす方が楽しくて自分にとって必要な人だと考え直した時か、若い彼女にフラれて行き場をなくした時。今のように心が彼女に走っている時に、 あなたがいくら切々と不倫がいけないと訴えても、戻ってほしいと頼んでも、逆効果だと思う。

 とってもむずかしいけど、限りあるものになってしまった二人の時間を、これまでの夫婦の時が育んだ穏やかな大きな心で包み込んでしまう。これは若い彼女にはできないこと。自分が捨てようとしているものを夫が自分で気づくかどうか。ここに賭けるしかない。 でも、 これは上手くいかせるということを目標にしたら、 うわべだけのものになってしまう。 捨ててこそ浮かぶ瀬もありという気持ちか、本当に最後はいい思い出を作ろうと腹を据えないとね。

 これで、戻ったとしても、今度は彼の裏切りと見えてしまった本性を、あなたが本当に飲み込めるかどうかという課題を抱えることになる。それもけっこうやっかいなものだよ。

 もうひとつの方向は、あなたが望まない、考えたくないことだと思うけど、夫が彼女との結婚の意志を変えなかった場合。

 その時にあなたの道はふたつ。 離婚に断固応じないというのがひとつ。 結果的に夫と彼女の結婚を封じることはできるけど、思い切り寒い関係だけが残る。それこそ意地で支えるしかない冷戦になる。これも精神的な負担を強いるし、あなた自身の未来も一緒に封じ込めてしまうことになっちゃうね。

 もうひとつは、割り切って新しい生活を始める道。離婚を夫が申し立ててきたら、第三者でも弁護士さんでも入れて、離婚に応じるための条件として慰謝料や財産分与を要求して、これから生きていくための経済的な基盤を出来る限り確保する。

 離婚した際の、最も大きな不安が経済的なものなら、それらに加えてひとりで生きていくために自分に何ができるかしっかりと考えておかなくちゃ。身体の負担を考えてフルタイムの本格的な仕事でなくても、家でできる仕事なども調べておく。そのために必要な資格などは、相手の事情で話が進められないという今こそ格好の資格取得や勉強のための時。

 もうひとつ気になるのは、予想もしていなかった苦しみに見舞われて、自分の生き方やこれまでしてきたことが間違っていたのかと悩んでしまっていること。上手く行かなければ間違いだという考え方をしていると、人の一生は圧倒的に間違いが多くなっちゃう。間違っていなくても、上手く行かないことはある。間違いだったと切り捨てたら、これまでの時間がみんな何の意味もないことになっちゃうでしょ。

 そんなことはないんだよ。人が生きていくうちに経験するすべて、何ひとつ無駄なことなんかない。あなたがこれまで生きてきた道も、夫との結婚も、あなたの肥やしになっているはず。全否定してしまったら、せっかくの養分を捨ててしまうことになる。悲しいことや苦しいことほど、人を育てる養分がたっぷり含まれているんだから……大きく息を吸って、みんな吸い取って大きくなってやるぞ! という気分で真正面から向かい合ってみようよ。

 両親もなく兄弟もなくという状況は私も同じだけど、だからひとりぼっちなんてことないよ。親兄弟がいたって、いない方がマシじゃないのかと思うほど寂しい人はいるもの。夫だって、ひとりぼっちより寂しさを感じてしまう存在になることだってあるんだから。

 不倫で心が去るだけでなく、怪我や事故で夫がいなくなることだってあるんだから、夫だけに頼ってしまうのは危険。身体が許す限り、何か自分にできる社会との接点と見つけて能動的に関わってみたり、友達との時間を大切に育てたりして、夫以外の人間関係を充実させたらいい。ガッと目を見開いて不安の源を見据えて、開き直ってみてください。それが元気回復の近道じゃないかと思うんだけどね。