No.236
11歳年下の男性に夢中です。結婚を申し込んだら、
育ちの違いを理由に断られました。でも、思い切れません
K・Kさん(35歳)一人暮らし
2006.7.5
 私はバツイチです。10年前に恋愛結婚し、6年前に夫の浮気が発覚して離婚。子供はできなかったので、今は気軽な一人暮らしです。ちょっと前までは、二度と結婚はしないし、男もいらないと思っていました。でも、ついに年下の男性にハマってしまいました。11歳年下です。今は、結婚したいと思っています。どうしてこんなにと思うほど彼に夢中です。前の夫のときはずっと冷静でした。
 彼は高級なレストランの店員で、私の友人がおいしいからと行きつけの店を教えてくれて、彼に頼むと親切にしてくれるからと紹介してくれたのです。私は仕事関係で、お客さんを食事に誘うことが多いので、彼にはいろいろと助けてもらっています。実は、結婚したいくらい好きと、彼に告白しました。彼もうれしいと言ってくれたんですが、環境が違いすぎると断られました。
 最初は、こんな年上いやだから断られたのかと思ったんですが、そうではなくて、貧乏な家庭に育って少年のときは悪いことばかりして何度も補導されたとか、お父さんが行方不明でお母さんは自己破産しているとか、すごいことばかり聞かされました。でも、今の彼は仕事もしっかりしているし見た目もきちんとしているし、過去のことなんか関係ないと私は思います。
 彼を紹介してくれた友達(小さいときからの親友です)も私の両親も彼との結婚には大反対です。彼も乗り気じゃないし、周囲も大反対では、結婚なんて無理でしょうか? 私は今すぐにも自分のマンションに彼を呼びたいし、結婚したいと思っています。育った環境が違うと絶対にうまくいかないと言われましたが、吉永さんはどう思われますか?
 
彼の返事を冷静に分析してください。客観的には、
彼は遠まわしに拒否しているとしか思えないのだけれど……
 11歳の年の差や、生育環境の違いがあると絶対にうまくいかないのか? という問いに関しては、そんなことはないだろうと思います。つまり“絶対”なんていう言葉で保証される人間関係なんかないってこと。もちろん絶対にうまくいくか? という問いかけであっても、 答えは同じになっちゃうってこと。 

 年の差なんか感じさせずに素敵な関係を築いているカップルもあれば、 恋愛中は愛があれば年の差なんて!と燃えていたのに、数年後にやはり年の差は越えられないなんて、年の差のせいにして別れるカップルもいるからね。

 お互いが育った環境だって、 出会うまでは別々の世界で生きていたわけだから、 みんな違う。 生活しているうちに、 基本的なことの違いが気になったりすることはあるだろうけど、お互いに認め合うか折り合うかしながら、自分たちの新しい生活環境を育てていっているんだと思うよ。 もちろん中には、味噌汁の味噌が、 白味噌か赤出汁かという程度のぶつかいあいで別れる人もいるからね。

 あなたが心配していることに関しては、乗り越えられるかどうかは他人が予測することは不可能ってことになる。ということは、それが原因で結婚できないという問題ではない。

 が、そんなことよりずっと気になることがあるんだけどね。あなたが、あまり気にしていないことなんだけど、私としてはそっちのほうがずっと気にかかる。

 あなたと11歳年下の彼は、 どんなつきあいをしているの? ちょっと前からハマっちゃったというけど、ちょっと前って何か月なのか何週間なのかそれとも一年以上なのか。具体的なつきあいの形も、あなたがなぜ彼と結婚したいとまで思いつめたのかも、まったく見えてこないのよ。

 ある日、前夫に感じなかったかわいらしさや若さやセックスアピールなんかを感じて、あなたの中の感情が一気に爆発しちゃったのかなあ。いたく気に入ってしまって、あなたが客として店に行く度に笑顔で迎えてくれる彼が恋愛対象になり、あなたの気持ちの中で瞬く間に結婚したいのだ!とまで突き進んでしまったのかなあ。

 そんなあなたに対して、彼は実にクールだよね。というか、顔が見えない。

 お客さんを連れてきてくれて、商談や接待などにお店を利用してくれるあなたは、彼にとっては大事なお客様。いろいろ親切にしてくれるのは、あなたに個人的な興味を持ってそうしているのか、店員としてありがたいお客さんへの最上級接客姿勢としてなのか、どうもわからない。

 自分の気持ちが前のめりになってしまっていると、いろいろなことが意味があるように感じたり、自分の気持ちにはめこんで解釈したくなっちゃうからね。

 結婚したいくらい好きと告白したということは、彼にとっては結婚する気ある?と問われたということになる。彼があなたの気持ちを何となく察していて、それを受け取ってもいいと考えていれば、周囲はどんな反応を示そうとあなたと彼の関係はスタートする。

 彼の返事は、あなたより11歳下ということは24歳なんだろうけど、なかなかスマートというか、のらりくらりというか……うまくかわしているなあという印象を受けちゃうね。

 あなたの気持ちをうれしいと受け入れるそぶりを見せながら、でもね……環境が違うので無理なんですと逃げている。うれしいという言葉には、どんなニュアンスが含まれていたんだろうか。自分もあなたと同じように思っていて、だからうれしかったのか、自分に好意を持ってくれたことがうれしかったのか、 お客様と店員の立場ではそれしか選択肢がなかったのか…… 本当にうれしいなら遠慮するなよって話で、サンキュー・バット・ノーサンキューと言っているのと同じように見えるんだけど。

 自分がどんなにワルだったか強調したり、 両親まで持ち出して自己破産だの行方不明だのと、まともな生活を送れないですよ……というアピールをしている。それって、ちょっと冷静に考えると、あなたから愛想を尽かしてくれるのを待っている態度ともとれる。

 あなたは、とてもまっすぐに彼の言葉を受け止めて、過去のことを彼が心配しているけど、今がとても真面目だし、過去のことなんか関係ないというふうに思っている。過去のことなんか問題ない!という抵抗は、誰か他の人が彼の過去のことを理由にあなたがたの結婚に反対した時に意味があるんだよね。本人が、過去を前面に押し立てて抵抗している時には、何かすれ違いを感じちゃう。

 いっそ、結婚はできないと言ってくれればいいのに、遠まわしにそれを伝えようとしているから悩んじゃう。それが彼のやさしさなのか、ずるさなのかわからないけど、あなたを傷つけずにやんわり自分の意思を伝え、気まずくならずに上客と店員の関係も維持しようとするには、私もこの方法を使うかもしれないなあ。

 男と女が結婚を考える、 一緒に生活したいと考える時は、 お互いが相手のことを恋愛対象として求め合っているということが条件になる。一方があまり乗り気でないと、一方的な思いだけが空回りしてしまう。それだと、結婚するのは物理的に不可能ということになる。今すぐでも彼をマンションに呼んで一緒に暮らしたいと思っても、彼が自発的にあなたのマンションに来ないと無理でしょ。

 あなたが彼との結婚をどうしても望むなら、 彼も同じ気持ちになってくれないとね。できれば背中を向けたい年下の男を、懸命にこっちを向かせ、逃げ出さないようにずっと見続けさせるというのは、けっこうしんどいよ。

 彼と会うきっかけになったレストランを紹介してくれた友人が、結婚に反対なのは、彼の気持ちを知っているからじゃないのかなあ。 年の差や環境の違いだけなら、お互いが一緒に乗り越えようと心がひとつになっていれば乗り越えられるけど、片方に乗り越える意思がない場合にひとりで懸命に努力するのはむなしい。

 彼との暮らしは一時的なものでいい。やがて、年も環境も一緒の人を見つけるまででいいと割り切れるならいいけど、そうでないなら、今、彼をマンションに連れてきても、やがていつか深く傷つくことになるのはあなただよ。