No.238
仕事に情熱を感じないし、かといって結婚に逃げたくはない。
本気で打ち込める仕事がほしいし、彼とも幸せになりたいのですが
M・Nさん(28歳) 一人暮らし
2006.7.19
 私には将来を約束している恋人がいます。わがままで気分屋、偏屈な私を大きな心で受け止めてくれる、とても器の大きな人です。彼は私との幸せな生活を守るためならどんな努力も惜しまないし、いろんなことを二人で乗り越えて幸せになろうと言ってくれます。私を必要としてくれ、私にとってもかけがえのない彼。そんな大好きな彼への接し方に、今、悩んでいます。
 原因は私の仕事です。今の仕事に就いて5年、現在の部署の仕事に全くやる気が起きません。毎日を無駄に過ごしている状態です。元々なりたくてなった職業で、目指す部署もありましたが、理想と現実のギャップというか、内部の実情を見るとその熱意も冷めてしまいました。今は目標とする仕事も見つけられません。
 自分としては、やり甲斐のある仕事を見つけて、それに打ち込みたいというのが本音。でもそれができない。どうしたらいいのかも分からない。こんな自分が大嫌いです。
 彼とは元々同じ職場で働いていましたが、彼が別の支店に転勤になり、今は遠距離恋愛中です。彼は今の仕事が好きだと言っています。休日出勤もしょっちゅうだけど、自分の仕事に誇りを持って、活き活き働いています。そんな彼をかっこいいと思うし、尊敬もしています。でもその反面、彼と自分を比べると、何もやる気の無い自分が情けなくなるし、すごく惨め。彼のことを羨ましくすら感じます。
 そんな感情が日に日に積もって、最近は、彼に絡んだり八つ当たりしたりの繰り返し。この間は滅多に怒らない彼をキレさせてしまいました。多分、私は彼に嫉妬しているんだと思います。彼氏に嫉妬するなんてどうかしている。挙句に八つ当たりするなんて最低。頭ではわかっていても、モヤモヤした気持ちをコントロールできないんです。大好きな人に優しくできないなんて彼女失格。このままじゃ、いつか本当に彼に嫌われてしまうかもしれません。だから、自分の心の整理がつくまで彼と距離を置くことにしました。でも、それもとても辛いです。
 彼は「仕事が嫌なら俺を逃げ場にすればいい」と言ってくれますが、3度目の正直でやっと採用になった今の仕事を、結婚を逃げ道にして簡単にあきらめたくないんです。本気になれるものを見つけたい。そして彼とも幸せになりたい。わがままな悩みなのかもしれません。でも私にはどちらも大切なんです。どうしたらいいでしょうか。
 
いい訳して逃げてても何も手に入らないよ。本気になれるものを
見つけたいなら、何にでも本気でぶつかっていくことです
  いろいろ上手くいかないことは世の中にはたくさんあるけど、うまくいかないことと、どう立ち向かうかによって、人は成長するか潰れるかに分かれるような気がする。面白くないという不満や冷めた気持ちだけを膨らませていくと、うまくいかないことが、さらにうまくいかないことを生み出して、次第に押し潰されてしまう。そして、自分にとって必要なことや、実は恵まれている部分、時には確かに存在していたはずの幸せまで自ら壊してしまうことにもなりかねない。

 今のあなたは、まさにそんな感じがして、心配だね。

 あなたには今、とても尊敬できる器の大きな彼がいて、結婚しようと言っている。かけがえのない存在と言いきれる人に想われるなんて、とっても幸せなことだよね。

 でも、仕事の面ではあまり幸せな状況ではない。理想と現実のギャップに悩み、思い通りにいかないことにいらだっていて、 仕事への熱も冷めて、 そんな不満を彼にぶつけてしまう。ま、愚痴るくらいですんで、それをバネにまた頑張るというなら、 八つ当たりされている方も報われるけど、 そんな感じでもない。 自分にできないことをしている彼に嫉妬している。 嫉妬というより、自分が行きたいけど行けない世界の代表のように彼のことを思っちゃうのかもね。

 でも、それはオカド違いな八つ当たりだよね。あなたは自分でもわかっているというけど、わかっているだけじゃ感情を押さえられない。モヤモヤした思いを自分でコントロールできないわけで、 そのうち、彼は少しずつ後ずさりしながら去っていくだろうね。あなたの言っていることは、乗り越えたいということではなく、逃げたいというニュアンスで伝わる。だから自分を逃げ場にすればとまで言っているのに、逃げたくないと突っぱねる。これじゃ早晩、もう勘弁してくれよ!ということになる。

 あなたもまずいと思って距離を置くことにしたようだけど、距離を置いていれば今の状態が解消されるものではないからね。

 結局、あなたは何を求めているんだろうか。そして、そのために何をしているんだろうか。求めていることは、ふたつかな。ひとつは、自分が理想とする仕事を思う存分出来る職場環境を確保したい。もうひとつは彼と幸せになること。

 どちらも大切だと思う気持ちはわかるんだけれど、あなたが大切なものを手に入れるために何をしているのか、まったく見えてこない。

 仕事に関しては、 あなたは結婚を逃げ道にしてあきらめたくないという。その心意気はいいんだけど、結婚以前に、実はもう逃げてしまっているように私には見えるのよ。

 今の仕事にまったくやる気が起きないから、 熱が冷めてしまったという。つまり自分が求めていた仕事とギャップがあるんだよね。だから、燃えない。つまらない。不完全燃焼のまま、結婚してしまうのがイヤだ。その気持ちはわかるけど、それに対してあなたがしていることは、彼に絡んだり八つ当たりしていることと、目標とする仕事が手に入らないことの不満をためているだけじゃないのかな。

 これでは、 思い通りの部署につけて、 目標とする仕事を与えられれば熱意を持って仕事ができるんだけど、条件が整わない限り燃えないということになる。条件が整ったらできるというのは、やはり違うと思う。仕事をあきらめないということは、どんな条件下でも、その中で自分ができることを精一杯していくことじゃないかと思うよ。こんなことをしているんじゃ毎日が無駄だと自分で言った時に、 毎日は無駄になる。どんなことでも積極的に取り組んでいれば、人が生きていて無駄になることなんか何ひとつないと思う。

 面白くない部分や、ピンチの瞬間、試練の時などは、人の肥やしになって本当の地力を蓄えさせてくれるわけで、実は無駄どころか有効な時間なんだけどね。

 ある著名なシェフは、 修業時代、たゆまぬ努力をして重要な仕事を任せてもらうまでの評価を受けたんだって。でもそこに留まらず、一段上を狙って転職したら、2年間鍋磨きしかさせてもらえなかった。何で俺が!と、理想と現実のギャップに腹を立てていたら、 その先は続かなかっただろうね。でも彼は、毎日それは熱心に鍋を磨き続けながら、横目で先輩たちの技を見続け、家に帰ってはレシピを書き出し、密かに勉強していた。 そんな彼の真剣さを見ていた人が、鍋磨きから一気に大抜擢してくれて、それが現在にいたる一歩になった。状況によって熱意が生まれたり消えたりするのではなく、 どんな状況でもあきらめなかったんだね。

 やりがいのある仕事ならやる気になるというのではなく、 たとえどんな仕事でもその中にやりがいを見つけていく。あるいは、ひたすら真剣に取り組んでいるうちに、やりがいが生まれていく。それが次のステップに繋がっていく。これが、本気で物事と向かい合っていくということなんじゃないかと思うよ。

 やる気のない自分が情けなくて惨めっていうけど、その言葉の中には、どこかでやる気を起こさせてくれない会社のせいというトーンが含まれている。これはあなた自身の問題なんだよ。仕事ができる彼に嫉妬しても、あなたが彼と同じようにイキイキと仕事ができるようになるわけじゃない。彼はなぜ仕事ができるのかと客観的に考えたらいい。その上で、自分に欠けているもの、自分が弱い部分を発見し、そこを補強して、自分の問題として受け止めないと、みんな会社や彼が悪いのよ……で終わってしまう。

 もし、あなたが彼女失格と本気で思っているなら、退場するしかないんだよ。本気じゃないんでしょ。それなら、彼女失格にならないためには、どうしたらいいのかという考え方をしなければ、いずれ彼の方がレッドカードを出す日がきちゃうからね。

 自分が大嫌いとか、彼女失格とか、言葉で自分を否定しても何も生まれない。本気になれるものを見つけたいなら、何にでも本気でぶつかっていくしかない。本気になれるものが見つかったら本気になるのに……では、一生そう言い続けていることになる。仕事も彼も大切だと言うなら、四の五の言っていないで、全力でぶつかっていくっきゃないでしょ。